配電盤では「ボディーとドア」「計器窓とドア」「筐体の入出線」等にガスケットを用います。
ゴム材料の特徴・長所と短所を知ると、ガスケット設計の意見交換がスムーズにできます。
ゴムには、輪ゴムに使用する天然ゴムから耐候性、耐油性、耐熱性、耐寒性に優れるシリコンゴムやフッ素ゴムまでいくつも種類があります。
ゴム部品の設計は、用途に応じて材料の性質に合わせた種類を選ぶことが大切です。
代表的なゴム材料の特徴、配電盤用ガスケットへの要求品質・材料、スポンジゴムを説明します。
ゴム材料の特徴
ゴム材料は、ジエン系と非ジエン系に分かれます。
ジエン系ゴムは、加工性が高くコストが低いですが、耐候性・耐オゾン性・耐老化性が
低い欠点があります。
非ジエン系ゴムは、光や熱、オゾンからの化学反応の影響を受けにくい性質があり、
酸化に対する抵抗力が高いです。
主なゴム材料は、以下の12種類です。




ガスケットへの要求品質
配電盤に使用するガスケットの要求品質を洗い出しました。

ガスケットの材料
要求品質より、ガスケットには非ジエン系ゴムが適しています。
●配電盤用には、耐候性に優れたEPDMをお勧めします。
FKM(フッ素)・Q(ウレタン)は、優れた性能ですが、コストが高く採用は難しいでしょう。
U(ウレタン)は、盤内で使用するには耐熱性が低いので適していません。
IIR(ブチル)は、EPDMと同じく使用可能と思います。
また、EPDM・IIRは耐油性に劣るので、油が掛かる環境ではNBRを選定するとよいです。
●EPDM
耐候性、耐寒性、耐極性、溶剤性、耐無機薬品性に優れています。
さらに、ブチルゴム(IIR)にくらべてはるかに反発弾性がよいので、自動車用ゴム製品、
工業用ゴム製品、建築用ゴム製品など用途は広いです。
電気的性能に関してもブチルゴム(IIR)より優れているので、高圧ゴム電線や
高圧ゴムケーブルにも使用されています。
ただし、一般の鉱油には、全く耐性がありません。
●NBR
耐油性は良好ですが、耐候性が悪いです。
アクリロニトリルの含有量により特性が変わります。アクリロニトリル量の増加により
鉱油、燃料の耐性は高くなりますが、低温柔軟性が低くなります。
●カーボンブラックは光の影響を阻止し、耐候性を向上させます。
スポンジゴム
●配電盤のボディーとドアの間のガスケットには、スポンジゴムを使用します。
ソリッドゴムでは硬度が高く、クッション性がないのでドアに追従できません。
<ソリッドゴムとスポンジゴムの比較>

●スポンジゴムには独立気泡と連続気泡があります。
必要な防水性に合わせて選択してください。
例)IPX4:連続気泡を選定・・・柔らかさを利用して隙間を埋めを雨水を下方に導く
例)IPX5:独立気泡を選定・・・雨水を通さず遮断する
<独立気泡と連続気泡の比較>

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